利き手に関係する遺伝子PCSK6
2019/09/04
どうして人間は右利きと左利きに分かれるのか?
その理由はまだ解明されていません。
しかし、近年では人間の遺伝子が利き手に関係していることが判明しました。
3300人を対象にゲノム解析
2013年に遺伝学やゲノミクスなどを扱う専門誌で、利き手は遺伝子PCSK6と関連しているという研究結果が発表されました。
研究を行ったのはオックスフォード大学、セント・アンドルーズ大学、ブリストル大学と、オランダのマックスプランク研究所の研究チーム。
3300人のボランティアに利き手を決める作業を行ってもらい、ゲノムの解析を行いました。
その結果、PCSK6が利き手と強く関連していることが判明したのです。
PCSK6とは
PCSK6は胚の段階で左右を決定する遺伝子です。
人の体の構造は左右対称にできているわけではありません。
多くの人は心臓が体の中央より左寄りにありますし、各臓器は体の右側にあるものもあれば左側にあるものもあります。
臓器の位置など左右を決める遺伝子がPCSK6なのです。
PCSK6については、マウスによる実験も行われています。
PCSK6を機能不全にしたマウスは、左右のバランスが崩れて臓器の位置に異常が見られました。
心臓や胃が右側に、肝臓が左側に配置されるといったことが起こったのです。
要因はいろいろあるかも
PCSK6が利き手と関係していることはわかりました。
しかし、PCSK6だけが利き手の決定要因と決まったわけではありません。
研究チームの代表であるウィリアム・ブランドラー氏は、遺伝子や環境、右利き至上主義の文化など様々な要因が混合して利き手が決まる可能性を示唆しています。