左手と宗教
2019/09/04
全人口の約1割ほどと言われている左利き。
左利きは世界各地で、宗教上差別されてきた面があります。
キリスト教~左利きは悪魔?~
キリスト教圏内で描かれる絵に登場する悪魔はほとんどが左利きだそうです。
なぜなら、キリスト教では「悪魔は左手に宿り、病気は左手からやってくる」と言われているから。
極端に言えば、「左利き=悪魔」とされていたわけです。
また、悪魔だけでなく魔女ともされていて、魔女狩りの対象とされたこともありました。
そのほか、娼婦のことを「左手の女房」と表現されるなど、左利きや左手にはマイナスイメージがつけられています。
このように、キリスト教は左手に対する禁忌が強い宗教なんです。
ヒンズー教~不浄の手~
ヒンズー教では、左手は「不浄の手」とされています。
基本的に左手を使うことは避けられ、左手で握手や物を渡すことは右手で行われます。
逆に用を足した後などは左手を使います。
ただ、不浄の手だから排泄の処理に左手を使うのか、排泄処理に使う手だから不浄と言われているのかは不明です。
イスラム教~右優先の思想~
ヒンズー教と混同されがちですが、イスラム教では左手が不浄の手と言われているわけではありません。
左よりも右を優先する思想があるため、右手を使うことが多くなります。
食事などは右手で行いますし、逆に排泄後の処理には左手を使います。
ちなみに、イスラム教圏内では右手を切り落とすという残酷な刑罰があるとのこと。
罰を受けた人々は必然的に左利きとして生きていかなくてはならなくなります。
刑を受けること自体もそうですが、右優先の思想もあって、これは非常に不名誉なこととされています。
おわりに
各宗教の思想ができたのは、今よりもずっと昔の話です。
当時は、現在ほど左利きを含めたマイノリティへの理解がなかったのでしょう。
ちなみに、日本人の私たちが気になるのは、宗教圏内に行ったときのマナーです。
その地域の文化については知っておいた方がよいでしょうが、左利きの人が左手を使ったからといって迫害を受けるようなことはまずありません。
観光客のような教徒以外の人の行動は、気にしなかったり理解のある人が多いようなので、気にしすぎもかえってよくないかもしれませんね。